
都筑区で新規開業をお考えの先生方へ
■ はじめに
近年、開業を考える医師が増加しております。医師会としては、志を同じくする仲間が増えることは歓迎いたしておりますが、都市部ではすでに過飽和状態となり適性な医療が行えなくなっているのも事実です。
医療機関といえども経営が成り立たなく撤退を余儀なくされる例もでてきております。
当医師会では、開業を考える先生方のご相談にのり、より安定した確実な開業ができるように協力しております。是非、医療コンサルタント、不動産業者等の説明だけで安易に開業の契約を行わず、契約前のご検討時に当会へご連絡をいただきますようお願い申し上げます。
なお、先生方の参考にしたいただけるように、平成19年現在の都筑区の状況をここに説明させていただきます。
■ 医療環境 −診療報酬の減少傾向は続く−
近年、厚生労働省の誘導により、医療費削減を目的に診療報酬が引き下げられております。平成18年4月の診療報酬改定後、11月に日本医師会で緊急調査を致しました。その結果診療所では点数は前年比で1.22%もの低下をみております。
日本での医療費は海外と比して必ずしも多くはないのですが、今後もこの流れは続くと思われ、診療所の収入の減少傾向は止まりません。
■ 都筑区の現状 −横浜市の中でも有数の激戦区−
都筑区は人口増加が著しく、ららポート、ノースポートモール、ミナモなどの商業施設などが相次いで建設され非常に発展していきている街です。横浜市営地下鉄グリーンラインも平成20年に開業予定であり、日吉から中山までが開通し、東横線、横浜線をむすび、ますます発展が見込まれます。都筑区は横浜市の中でも港北ニュータウンの中心として注目されております。

都筑区の人口増加 この数年間は毎年5千人程度の増加をしています
そのため近年、センター南駅、センター北駅のみならず、北山田、東山田、葛が谷などの新駅予定の地区にも続々と医療モールが建設されております。
開業では有利とされている医療モールですが、実際には開業しても周囲のテナントが空いたまま1年、2年と経過することも多く、相乗効果があがりにくくなっています。
そのため新規開業をしたのはいいけれど、予測したような患者数の伸びがなく、苦しい経営が続いているクリニックも多くあります。
都筑区は人口増加は著しくても、年齢構成が若く、実際に医療機関にかかる65歳以上の高齢者は少ない地区です。平成17年の統計では、人口は横浜市18区中11位であり、平均年齢は36.8歳、65歳以上の割合は10.2%と最も少ない地域です。

都筑区(棒グラフ)は横浜市の平均(折れ線グラフ)に比べ、30~40歳代の人口がたいへんに多い地域です
つまり、医療を必要とする高齢者は非常に少なく、医療機関の増加と相まって、医院経営はとても厳しい地域となっています。医療コンサルタント等はこのような事実は伏せて勧誘をすることが多いように見受けられます。

高齢者人口は横浜市の中で最も少なく、子供は逆に最も多いことがわかります
■ 都筑区の診療所 - 増加が著しい都筑区 -
実際に都筑区では、非常な勢いで診療所が増加しています。平成7年には、41件でしたが、平成19年には110件と激増しています。

都筑区新規開業数(医師会入会分のみ) 平成7年には、41件でしたが、平成19年には110件と激増しています。
都筑区は、横浜市内では診療所数が多くはないようにみられていますが、人口数は中区についで少なく、実際に医療を受ける65歳以上の人口でみた一診療所あたりの人口数では、西区についで少ない区になっています。

横浜市各区の人口に診療所数と人口数の比較
■ 標榜科ごとの外来患者数 - 都筑区では毎年減少 -
都筑区医師会では、毎年各診療所の患者数実態調査を行っております。平成16年から平成18年に、2日間に渡り外来患者数の調査を行いました。
どの標榜科も毎年患者数が減少していることが判明いたしました。複数標榜科をあげている診療所も多数含んでいますので、実際の患者数はもっと少ない状態であり、調査を行っている我々医師会でも患者数の減少の実態に驚愕しています。

平成16年〜18年の都筑区における標榜科毎の1日当りの外来患者数の推移
■ 小児科診療 - 意外にも少ない小児人口 -
若い人口構成である都筑区の小児科は比較的患者数が多いと思われておりますが、実際はどうでしょうか。
都筑区では、15歳未満は3万5千人程の人口数であり、小児科標榜診療所が36機関と多いため、1診療所あたりの人口は978人で、非常に少ない数となっております(表3,4,5)。小児医療の崩壊が叫ばれ、診療報酬もアップしておりますが、実際には小児専門医からは医療経営が成り立たないという声が聞かれています。

都筑区の15歳未満と15歳以上の人口構成 都筑区の小児科標榜診療所は36機関

各県における小児人口と小児科標榜医数
■ 医師会の役割 - 医療現場を守るために -
近年の医療行政の方向、マスメディアの医療バッシングは目に余るものがあります。
医師会は医師の正当な権利を保護し、本来の良質な医療を適性に行えるように努力しております。しかし現実には、診療報酬の値下げ、医師免許の更新制、自治体健診の変更、株式会社の参入、混合診療の導入など、医療現場を省みない変革(改悪)が行われようとしています。これらは、医師の本来の活動を大きく妨げるもので、日本医師会を初め、県医師会、市医師会、区医師会がまとまって対応をしています。
■ 医師会への入会 −地域医療への貢献をともにしましょう−
医師会は医師の専門職能集団であり、社会的な使命をもった公益法人です。お互いに協力して医療を実践しています。医師会への入会は、経済的なメリットのみならず、自治体からの業務の受け皿、休日診療所、夜間診療所など地域への医療貢献を通してのPR、医師会員内での診診連携、かかりつけの紹介、トラブル時のバックアップなどさまざまなメリットがあります。
医師会ホームページでも、診療所の検索ができ、患者さんも医師会のHPにあるということでそのクリニックへの基本的な信頼感を得て受診をします。
医師会への入会は、地域医療を行っていく上でかかせないものであり、また連携をとらずに医療をおこなうことは不可能であり、是非入会をご検討いただきたいと思います。
■ 開業に際して - コンサルタントは味方とは限らない
開業に際して、現地調査はかかせません。コンサルタントなどのいうことを鵜呑みにせず、現地へ行くことが大切です。曜日、時刻を変えて、30分はその場で人の流れをみることが大切です。周囲の駅をみたり、当然ながらすでに開業しているクリニックの状況を把握したり、その駐車場の状態をチェックしたり、さまざまなアプローチが必要です。
「先生はお忙しいでしょうから、こちらできちんと調べますよ」と開業コンサルタントやリサーチ会社、薬局、不動産会社などがありますが、彼らは開業してもらえれば収益が得られます。その情報のみで、現地を実際にみず、医師会にも相談せずに安易に開業すると大変厳しい現実が待っています。
医療コンサルタントといっても、最後まで経営に責任をもつことは少なく、開業するまでの高額なコンサルタント料を得ることが彼らの仕事であることは自明のことです。経営がうまくいかなくても誰もその保証はしてくれません。すべては自分の責任です。
当然ながら、開業は医師会の誰もが苦労してきた経験をもっています。都筑区医師会では、開業している、またこれから開業する「仲間同士」がよい関係で医療を行い、お互いの生活も守れるようにしていきたいと考えています。
これは新規開業を拒否するものでは決してありません。医師会は地域医療の担い手として、適切な医療を提供できることを目指していますが、現状の開業ラッシュではその目的が達成できなくなることを危惧しています。
開業を検討される先生方は、コンサルタント等の情報のみならず、是非医師会からの情報も検討していただきたいと考えています。
■ ご連絡は・・・
都筑区医師会事務局開業支援部までご連絡ください。
先生方の専門領域の医師によるアドバスも受けられます。
電話:045-911-6677 FAX:045-911-3303